学文殿町の住宅地にある一軒に「こんにちわ」と、元気な子供の声がして、大きなグランドピアノと明るい笑顔の石田佑美子さんが出迎えます。ここが「ぴあの弾きのゆみこ音楽教室」。
元気に飛び込んできた女の子はそのまますぐにピアノに向かい、その妹も飛び入りで参加して3人の連弾が始まりました。楽しそうな笑顔のこの子が、もうじき全国コンクールを控えていると聞き、緊張とは無縁の様子にびっくり。
「生徒によってピアノを楽しむ先の目標のステージが違うんです。コンクールに出たい子もいれば、人を楽しませたいと思う子、一人で没頭して弾きたい子、ストリートピアノを弾きたい子。それぞれのステージに焦点を合わせてあげるのが、私の役目です」と語る佑美子さんがぴあの弾きのゆみこ、と名乗るようになったのは、2年前。コロナで塞ぎ込んでいる人たちを音楽で笑顔にしたいという思いから、インスタ発信を始めます。その際にピアニスト、と言うと遠い存在になってしまうし、ピアノはぴあのの方が親しみやすいのでは‥あれこれ考えた末に「ぴあの弾きのゆみこ」が誕生したのです。
お似合いの金髪はインスタのイベントで染めたそうですが、以前の黒髪の先生をもう忘れたわ、と生徒に言われるほどの定着ぶり。小さい頃からユニークな音楽教育を受けてきたのだろうと思いきや、2歳でピアノを始めて武庫川女子大学音楽学部器楽学科ピアノ専攻を卒業するまで、いわゆる英才教育のピアノ人生だったそうです。「ピアノを楽しむことはなく、競うことが多くて。学生時代は劣等感まみれでした」。
音楽家だらけの環境は特殊で、いろんなことを知らずに過ごしてきたと感じ、卒業後は音楽からいったん離れて一般企業に就職。そして結婚を機に、退職。子育てで、20代はピアノどころではなかった佑美子さんが再びピアノと向き合うようになるきっかけは、離婚でした。今は再婚し、インスタにご主人が声の出演をすることもあるほど幸せな状態ですが、女手ひとつで3人の子供を育てなければいけなかった時期があったのだそう。その際に、ピアノを教えたり冠婚葬祭でピアノ演奏をする仕事が出来たことがありがたかったと言います。ピアノに助けられたという経験が、彼女とピアノの絆をより強くしたのかもしれません。
「子供はみんな天才だと思う。日本の教育は枠にはめようとすることが多いけれど、自由にできる場所を作りたい」と熱く語る佑美子さん。
今秋からは甲陽園に音楽サロンを設け、音楽を通して食、空間、アートなど多種多様な繋がりが生まれる環境を展開。そこで得た収益の一部を子供音楽楽団の立ち上げやイベントにあてるのだそう。また来年度には今の自宅兼教室を音楽系の学童保育所にする予定もあり、夢の実現に向けて大忙しですが、とても楽しそう。こんなパワフルな彼女のもとで、音楽に出会える子供たちは幸せです。
ピアノ・個人レッスン 6,000円/30分×月3回 幼児プレピアノグループ 4,000円/月2回