学生と接しているからか、若々しく見える『英数研』の塾長・梶屋実さん。
3人の子供をこの地域で育てあげ、今や孫までいると聞けば驚きです。「実は私自身も鳴北小、学文中、鳴高と通ったのでね。どうせなら地元の子供を教えたいと思ったんです」。
大学院を卒業後、大手の塾の講師を経験した梶屋さん。その高額な授業料を知ってびっくりし、もっと安い金額でもっとしっかり教えたいと思ったのが塾を始めるきっかけだといいます。
30年前の創業時も今も、梶屋さんの願いはクラブと勉強の両立ができた楽しい中学校生活をこどもたちに味わってほしい…というもの。とはいえ、文字にすると「中学で全教科オール5」と強気です。そのため4年生から準備をしっかりするというスタンスです。
経験した大手塾のシステムから改善したひとつが、1クラスの人数でした。特に英語は1人ずつ発音もチェックしたいので、1クラス9人が限界だと実感。1学年2クラス18名体制となりました。
また、自ら英語が得意分野であると同時に、国語力の必要性に重きをおいているため、小学生では漢字検定、中学生では英検もとりいれて学力アップを目指しています。
テキストは教科書に沿ったオリジナルを用意しますが、板書もかなりのボリューム。板書=記憶にしっかり残す習慣をつけるため「ノートは必要とあらば何冊でも配布します」とにっこり。なるほど部屋の片隅に新しいノートが積まれていました。
「板書って案外難しいんですよ。綺麗に書いても、頭に入っているわけでないんですよね。
乱雑でも、自分で要点がわかるように書くことが大事なんです。うちでは、授業中に板書したノートは置いて帰り、宿題用のノートにその日習ったことを改めて書き直させています。このスタイルを30年間続けてきています」。
つまり基本は創業時とさほど変わらないようです。もっと不変なものが、金八先生のように生徒の私生活にも向き合う姿勢です。
塾生がなにか問題に巻き込まれた時には、いちはやく小中学校から相談にこられるといいます。いち塾の先生なのに、学校の先生と同様、いや、それ以上、地域に深くかかわった存在として知られているのは、さすが30年の歴史です。
話をしながらも、消しゴムのカスを見つけたら自ら掃除をするこまめさや、土・日曜にはテスト前の補習や欠席時の補習を費用不要でおこなうといった面倒見のよさにも、ただただ頭がさがります。
「補習時こそ、生徒と本音で話せたりするんですよ。だから補習は大事なんです」とおっしゃいながら「でもね、娘と息子には反面教師だったようです。
成人した今、きっちり土、日曜に休みがとれる仕事を選んでますわ」と苦笑い。いえいえ、そういう父親のまっすぐな姿、尊敬し、応援してくれています。塾の雰囲気がやわらぐようにとぬいぐるみを届けたり、たまに食事に誘いに娘さんや息子さんが来ると聞けば、親子の絆の強さを感じます。
では変わったところは?と尋ねると「私自身がまるくなったかな?」。高校、大学でラグビーをしていたので、机を叩いたり大声をはりあげたりと20、30代はまさに体育会系の先生だったらしく当時の教え子が訪ねて来るたびに「昔はもっと怒ってたやん」とからかわれるのだそう。
それでもあと30年、現役で教え続けますと宣言する梶屋さん。もはや二代目塾生が続々と詰めかけてくるから、うかうかしてられない様子です。