ここのご主人・大切俊幸さんはとにかく多彩な才能の持ち主。
その証拠が店先にある二枚の表彰状です。一枚は額入りで金縁の鮮やかな「西宮市技能功労賞」。
今のようにデジカメで誰もがたくさん写真を撮り、それをお店の機械で焼き上げるのが主流の時代。でも、どこに出しても仕上がりは同じ、と思っていたら、大間違いです。このお店のモットーは「色と見栄えにこだわった高品質プリント」。
大切さんが一枚、一枚、色やコントラストを補正して、最高の1枚に焼き上げてくれます。またゴミ箱や、知らない人など、必要のないものが写ってしまっている時や、ある部分だけをクローズアップしたい時など、相談すれば、思いどおりに仕上げてくれます。
もちろん家のプリンターでプリントしたものとは、大差が出ます。なにせ、プリンターの画像は10年もしたら、消えてしまうのですから…。
また、デジカメ普及で、撮るだけ撮って、焼かないでそのままデータ保存している人が増えていますが、パソコンが壊れたり、保存先のCDやDVDが破損したら、一貫の終わり。もう二度と写真を見ることができなくなります。
なので、お店で銀塩プリントしてもらうのが、得策と言えそう。
このお店のプリントなら、100年は色あせないという保証付きです。なので「大事な写真はここで現像することに決めてる」という常連さんが多数います。
また、撮影技術も評判です。ご主人自身、学生時代にポートレート専門の師匠に弟子入りして鍛えた腕前が今の健在。で、最近では保母さんの資格を持った娘さんが幼稚園の行事の撮影には同行されるのですが、さすが、子供の扱いが得意なだけあって、子供のいい表情を撮るのも上手なのだとか。
「人を撮るのは、僕の得意分野やねんけど、娘も最近、うまくなったね。入園式から1年間の行事、全部に出かけて行って、喜ばれているんよ」と、大切さん、娘さんの写真の腕前の上達に嬉しそうに目を細めていました。
さて、そんなすばらしい職人さんが、別の才能でもらった賞状が「人間国宝」。と言っても国の認定ではなく、テレビ番組の企画で街で出合ったおもしろい人、魅力的な人に与えられる「となりの人間国宝さん」の認定証です。
何をもって、その称号をいただけたのか、ですが…テレビを見られていた方ならご存知でしょうが、大切さん、創作落語を書きためていて…。レポーターの若手落語家さんが、ストーリーの独創性に圧倒されたというわけでした。去年は初めてコンクールに提出。そのうち、二足のワラジを履くようになるかもしれませんね。ちなみに、ペンネームは『鳴カメおやじ』ですって。
そうそう、鳴カメおやじも強烈キャラクターですが、このお店を語るのに忘れてならない存在がいます。
バーニーズマウンテンドッグの親子、です。どっしりと頑丈な大型犬でありながら、表情がとてもお茶目な犬種。お父さんのゴンザエモンに、娘のキナコヒメ、息子のジュウベイがそろって店の奥でゴロリと寝そべっている姿は、圧巻です。
この親子を訪ねて、同じくバーニーズマウンテンドッグの飼い主やさまざまな犬を連れた人達が散歩の途中で寄り道し、店先で集っていることも多いようです。ともすればドッグカフェや、ペットショップかなにかと勘違いされそうな雰囲気ですが、写真屋さんですからね。念のため。