本店が尼崎にあるという、創業30年の質屋『丸高 甲子園店』。質屋と聞くと、最近の質屋に行ったことがないと、つい、暗い店内をイメージしてしまいがちでは?
暖簾をくぐると、気難しそうなご主人が座っていて鑑定も面倒くさそう…というひと昔前のドラマの世界のようなイメージを、どんどん変えていきたいというのが、丸高の想い。
なので、まず店構えはガラス張りで、太陽光が差し込み、明るく、入りやすい雰囲気。
店長の中島 さんをはじめ、若く元気なスタッフが明るく「いらっしゃいませ」と出迎えてくれます。ただの質屋でなく、看板にあるように逸品質屋だというのが、ミソ。
状態の綺麗なブランドバックや時計、衣服などが持ち込まれ、それらをショッピングしに来る人も審美眼を持っていて楽しく買い物していくのが、他の質屋さんと違うところのよう。
「ここ甲子園店に来られる方は、本当にやりくりに困られてくる、というのではなく『今月の事業の運転資金の足しに少し』だとか『趣味の旅行に行きたくて』だとか…生活や仕事面の充実のために質預けにされる方が大半です」と説明してくれた中島さんも、何を隠そう、ここ西宮で生まれ育ったみやっこ。
なので土地柄、のんびりした雰囲気の質屋なんでしょうね、と納得の様子ですが「でも、そのかわり、厳しい目を持った人が多くて緊張します」とも。
実際、質屋に物を持ち込む形には2種類あります。大事な物だけど、今すぐ現金が必要なので、その品を担保に融資してもらう『質預かりサービス』というのがひとつ。
もうひとつが、不要なので買い取ってもらう『現金買取サービス』。『質預かり』の場合、原則3ヶ月の預かり期間を過ぎても引き取りに行かなければ、その品はいらないものと見なされ、流質処分になります。どちらにしても、その品をいくらの価値で取引するか、は、お店の人の目利き次第。
そこで中島さんは、前職の『呉服屋』での経験が役立つとおっしゃいます。「呉服は、感触、つまりは手触りでその価値を覚えさせられたんですが、質の査定もそれと同じような感じなんですよね」と。つまりは場数がかなり物を言う業界だということでしょう。
甲子園ならではの持ち込みで品では、阪神タイガースの優勝メダルがあったとか!吉田監督の時代のもので、思わず見入ってしまったのだそう。一番多いのが40〜60代の女性で、使わなくなったブランド品をどうしようかと悩んでいるケース。そういう時には「とりあえず預けて3ヶ月悩んで下さい。やはり必要なら取りにくればいいし、不要と判断すれば、そのまま流質させたらいいのでは」とアドバイスすることが多いそうです。
一年で一番商品が動くのは、年末年始。自分へのご褒美にしろ、プレゼントにしろ、新品の持ち込みも多いので、欲しかったものが少しでも安く買えるなら、やはりお得。エコやリサイクル、そういった中古ストア感覚で気軽に立ち寄る人も多いようです。
でも、ひとつ大事なアドバイスがあるといいます。特に中島さん自身が好きなブランド時計について、だそうですが『高価だからといって必ずしも良品かと言えば、そうでもないんです。使い勝手や生活スタイルなども考えて選ばないと、無用の長物になってしまいます。そういう理由で質預かりなる商品を多く見ている中島さんならでは、なアドバイス。なるほど。