界隈のママ達のランチ処として、三本の指に入る人気のお店。イタリア製のマシンで作った生麺パスタが食べられるのが人気を集める理由のひとつでしょう。スパゲッティーにフェットチーネやペンネと多彩な生麺と相性のいいソースの組み合わせは常に20種以上あり、どれも魅力的。
よほど強い意志がない限り、誰しもメニューとにらめっこしながらこどれにしようか、あれこれと悩む時間が必要です。ちなみに一番人気を尋ねると「とろりナスとベーコンのトマトソースか、ふわとろ半熟卵とベーコンのクリーミーカルボナーラのどちらかですね」とオーナーシェフ
の杉本拓さん。「とろり」も「ふわとろ」も、心くすぐるキーワードですよね。杉本さんはフレンチ出身のシェフですが、ご自身が三食パスタでも構わないほどパスタ好きなのと、より多くの人に気取らずにお腹いっぱい食べてほしいという想いから、イタリアンへと転身。今も休日には
パスタをはじめ、さまざまなジャンルのお店を食べ歩き、インスピレーションを受けた際に新しいメニュー誕生に結びつくこともよくあるといいます。なるほど、パスタ専門店並のメニューにもうなずけます。
初めて訪れるという人は、まずはランチ1280円〜でその美味しさを実感してください。パスタが選べる生パスタランチ1580円が王道のコース。ミニサラダとドリンクの他についてくるお好きなバケットが、お得感を盛り上げます。バケット4分の1本がサラダと共にまず出てくるのですが、その味付けがプレーン、バター、はちみつ、明太子、ガーリック、カスタードと今月のバケットの7択! 甘い系か、パスタソースを絡めとる系か、これまた楽しい悩み。もちろんこのコースでしっかりお腹いっぱいになるのですが、通い慣れた通の人はこれに前菜がつくフェリーチェランチ1980円を注文し、➕480円ででドルチェ盛り合わせも楽しみます。フレンチ出身シェフゆえ、前菜もドルチェも手の込んだ絶品なのです。このコースを一度食べてしまったら虜になって、今度は夜にゆっくりワインも頼んで、となること間違いなしです。
2017年にこの場所でオープンを決めたきっかけは、よく知ってる街だから、という杉本さんは春風小学校を卒業した生粋のジモティ。ランチの閉店後すぐにお邪魔したものの、休憩する間もなく、夜の仕込みをしながら取材を受けてくださいました。厨房は一人なので営業中はずっと篭っていますとのこと。内も外も煉瓦作りの建物は、その昔、重厚な雰囲気の焼肉店だったのですが、今は店内は白く煉瓦をペイントしていて、ナチュラルテイストに仕上がっています。ところが、厨房に目をやるとこちらは煉瓦色のまま。そのメリハリが素敵です。あえて残したのかと思いきや「改装の時、年配の職人さんがたった一人で白いペンキを丁寧に時間をかけて塗ってくれていたんです。大変そうだったので、厨房はそのままにしただけです」と照れくさそうに笑う杉本さん。そんなシェフの優しさがお料理にもあふれているなぁと納得し、嬉しくなりました。