兵庫医大から線路を挟んで少し北。静かな住宅地の一軒に、控えめに看板を掲げています。
おうちカフェならぬ、おうち法務事務所。知人宅を訪れるように、呼び鈴を 押すと、田中晴先生が優しい笑顔で迎えてくれて1階のリビングに通されます。手前 にはキッチンもありますが、安心してください。もともと二世代住宅だったおうちを 改装、1階は仕事専用で居住スペースは2階。気兼ねなくじっくり相談ができます。 しかも財産や債務など、デリケートな相談案件を話すにプライバシーもしっかり守ら れ、基本、晴先生がお一人で対応してくれるというのも魅力です。もちろん、ソーシ ャルディスタンスをしっかり保って過ごせます。
晴先生は小松小学校、学文中学校、鳴尾高校で学んだ、生粋のジモティ。それゆえ、 地域性やみやっこ気質も理解のうえ、親身になって対応してくれます。法務事務所と いう響きに、勝手に緊張しつつ取材に挑んだのですが、話しやすい雰囲気を自然と醸 し出している晴先生。その秘密は、先生の職歴にありました。大学を卒業後、医療系 の仕事、司会業、不動産の営業と、多方面で活躍。しかも、そのつど、視能訓練士や 宅建など、資格を取るために勉強し、試験を受けています。よほど勉強がお好きなの かと思いきや「学生時代は、勉強が大嫌いでしたよ。でも好奇心が旺盛で、興味がわ いたらとことん追求したくなるタイプ。そのための資格をとる勉強は苦にならなかっ たですね」とニッコリ。
不動産の仕事をしていた時に人生の転機が訪れます。結婚。そして親の介護。最初 は賃貸物件の営業だった不動産の仕事もその頃にはバリバリに家の売り買いに携わ っていたのですが、介護や家事と仕事を全て完璧にすることに無理があり、辞めるこ とにしたそうです。そして介護中に勉強したのが、司法書士の仕事だったのです。「不 動産の仕事をしていて、決済という大切な場に立ち合い、スムースに業務をこなす司 法書士の姿を見ていて、興味が沸いた」のだそう。資格を取るまでと、取ってから1 年ほど、法務事務所で補助の仕事をして経験をつみ、晴れて自宅事務所を構えたのが 2年前。持ち前のチャレンジ精神を発揮し、司法書士の資格に留まらず、相続診断士、 終活カウンセラー、AFP という肩書きも名刺に記載されています。
ところで、法務事務所ってどういう時に頼るところ?一般的には会社を設立したい 時や不動産の売買、相続などが浮かぶでしょうが、他にも幅広く対応してもらえます。 暮らしの中、どうしたらいいだろう?と悩むことがあれば、気軽に相談してくれれば、 と、晴先生は言います。特に最近、力を入れているのが「家族信託」。2008 年にでき た制度ですが、まだあまり浸透していないことを歯痒く思われていると言います。と いうのも、親が認知症になった場合に通常なら第三者に報酬を払いながら財産の管理 を頼まなければならないところ、この制度を使えば家族が代理で財産管理ができるよ うになるのです。ただ、家族信託を使うには、認知症になる前にその手続きをしなければなりません。ご自身は親の介護でそういうトラブルはなかったものの、最近、家 族の認知症の相談が多くなっているのでこの素晴らしい制度を広めたいと強く思っ ているといいます。初回の相談は無料なので、何か悩ましいことがあれば、まずは気軽に 頼ってみてください。