昭和33年生まれ。小松東町で生まれ育った渡辺英雄先生。高校時代に歯医者になる!と決意を固め、その夢を叶えた堅実な努力家です。
専門は補綴。補綴とは、欠けた歯や抜いた歯の後を人工物で補うこと。つまり、虫歯のかぶせや入れ歯など、誰もがお世話になりそうな治療全般。加えてホワイトニングなど歯を美しくする審美歯科の分野も得意だそうで、オールマイティというわけです。
大学病院から独立し、けやき散歩道沿いに開業したのが昭和60年。地元ゆえ、まず友達、近所の人など知り合いから頼られるようになり、今やすっかり地域でよく知られた存在。昨年、めでたく30周年。親子三代、歯のかかりつけ医院として訪れる家族もいるほどの、歴史を着実に築きあげています。
診療所は4年前に建てた自社ビルの2階。渡辺先生の思い入れやこだわりがいろいろと盛り込まれています。長年通ってくれる方が高齢化しているので、バリアフリーがまず大事。車での来院者も多いので駐車場を広く確保。エレベータは、車いすだけでなくバギーを押したママも快適です。広く、ホテルのロビーのようにゆったりした待ち合い室の奥には診療室がふたつ。そのサイドにそれぞれメンテナンスルームがあり、診察室では渡辺先生が最新のマシンで治療。メンテナンスルームでは衛生士さんが文字のごとくメンテナンスにかかるので、スピーディで効率的に診察を受けることができるというわけ。「子供さんは特に歯医者はイヤな場所でしょ。だからできるだけ優しく、そして速く治療が終わるように心掛けてます」。強面だけど、優しさが言葉の端々にあふれています。
「そうそう、こんな仕事もしているんです」と見せてくださった名刺の肩書き。兵庫県甲子園警察署警察歯科医、と書かれています。「警察官の検診をする担当医ですか?」と尋ねると、苦笑。「身元不明の遺体の歯の鑑定をしているんですよ」という返事にびっくり。つまり遺体の歯の治療痕などから生前通っていた歯科医をつきとめ、本人確認を裏付けるという大切な仕事。先輩歯科医師から後任の依頼を受け、約25年間も甲子園警察署に所属。「診療所の勤務時間外にやっているので、今までは知る人ぞ知る話だったのですが、去年、朝日新聞に掲載されたんです。そこで患者さんや近所の方に「読んだよ」と声かけられることが増えて…」と、少し照れくさそうな渡辺先生。かなりの根気と根性が必要な、献身的な仕事ゆえ、頭が下がります。
治療した患者さんは、ほぼ全員がその後、定期的なメンテナンスに通い、今ある歯の健康状態をキープ、またはよりよくすることを心掛けるようになるのだそう。「8020運動を推奨してます。メンテナンスをしてもらい、80歳で20本以上の歯を残してもらいたいですね」とおっしゃる先生自身、かなり歯の健康管理はしっかりされている様子。「でもどうしてもアクシデントに見舞われることも。そんな時、自分で治すかって?いやぁ、それはできないので友達の歯科医に診てもらいます」と取材の最後に、笑顔もちらり。真面目な先生の真面目な診療所だから、安心して通えるのですね。