ビルの2階、インターフォンを押して扉の中へ。アジトのような雰囲気に一瞬、緊張してしまったけれど、室内にはFM802が流れ、迎えてくれた所長の藤原覚さんの笑顔と物腰の柔らかさに、ホッ。
実はここ、けやき散歩道界隈が地元だという藤原さん。「クライアントにとってええのかどうか、わからないけれど…おかげさまで地元の話で盛り上がり、任せてもらうこともあります」とにっこり。
中心に扱っているのは法人ですが、税に関することならなんでも相談にのります、とのこと。特に大きな改正のあった相続税に関する相談を今後は積極的に受けていきたい、と熱心に話されます。
「故人の意思に反して家族でもめて、皆が不服な結果になってしまうケースが多いんですよね。お金の問題はデリケートで、ヘタすると親族で訴訟にまで発展。そうなる前に、円満に解決できる方法を提案したいと常々思っています」。
また「この不安定な時代、中小企業には助成金の提案やもらえる奨励金の紹介を、積極的にしていきたい」と、これまた熱く語られます。相手の立場に歩み寄り、親身になってアドバイスする藤原さん、いい意味で税理士らしからぬ人なのです。
開業は平成10年。大学卒業後、すぐ税理士を目指したわけでなく、アパレル業界でサラリーマンを経験。ところが自分が一生続ける仕事でないと判断。その時に思い出したのが、尊敬する先輩の一言だというのですが…。
「大学時代、警備のバイトをしていて、その仲間と仲良くしていたのですが、遊びに行く際、ある先輩から「おまえ、経理担当」と言われまして。要は会計担当だったんですが、その言葉を思い出し、税理士になろう、とひらめいたんです。でも先輩にその話をすると「そんなこと言ったか?」と大笑いされました」と、漫画のようなエピソード。
その続きがあって、現在、藤原さんはその先輩が経営する会社で経理を担当。どうやら、その方は、学生時代に、もはや藤原さんの堅実さを見抜いていたようです。
アパレル退職後、6年間、税理士事務所で働きながら資格修得のために勉強し、晴れて税理士となった藤原さん。「しいて言うなら僕の強みは、情報の早さとフットワークですかね」と自己分析します。
「税理士同士、ライバル意識があって情報を隠すことが多いのですが、ありがたいことに仲間に恵まれていて…。6年間、共に学んだ仲間とは一緒に成長しようと誓い、情報を共有しあっているので、他よりも早く税に関する情報を知ることができるんです。
そしてその情報をクライアントにできるだけ早く伝えることに全力を尽くします。お客様の発展なしで、僕らの発展はありませんから」と。そこで全クライアントと、月1度は話をする機会を作るため、各地を飛びまわる日々。
希に事務所にいる時は腰痛対策の専用チェアが定位置だそうで、足元はクロックス。「スリッパ替わりに履いたら楽で、今や定番です」と、穏やかな表情でくつろぎモード。
競ったり、争うことからかけ離れたタイプのようですが、認定支援機関という国が定めた機関の資格は「制度が出来た年(平成24年)にたぶん市内の税理士のなかで一番に取得したはず」と、やる気は誰にも負けてない様子。
また唯一、好んで競うのがゴルフ。税理士業界では上手なことで知られており、去年は近畿税理士会のコンペで、ベスグロを獲得。でも恐縮しながら「自慢話のようで、すみません」と付け加えるあたりが、藤原さんらしい、と思いました。