2020年8月に誕生した「コドモミライズ」。代表の蒲田節子さんは公立保育所の保育士に始まり、所長20年、専門学校の常勤講師や付属幼稚園のアドバイザー、私立保育園園長など半世紀にわたり、幼児教育に携わってきました。その経験から現役時代の所長仲間をスタッフに迎え、ご自身の理想に近いモンテッソーリ教育を主軸に、子供の自尊感情を大切にした教育を進めています。
モンテッソーリ教育といえば英国王室御用達で知られ、海外ではオバマ前大統領やビル・ゲイツ氏など多くの成功者が影響を受けたとか。日本では藤井聡太プロが幼稚園で受けたことで一躍有名に。そんな教室が誕生したというだけでも気になります。
訪ねると、3歳の男の子二人が楽しそうにお花を触っています。ハサミで切ってはペットボトルに突っ込んで、の繰り返し。生花の体験です。完成品を母親のもとへ得意げに持っていった後、一人は本棚へ。もう一人はおもちゃ箱へ飛んでいき、それぞれ遊び始めました。聞くとカリキュラムや時間割はなく、子供たちは好きなことをするそうですが、その日に力をつけて欲しいと思うテーマを2つほど用意し、さりげなく誘うのだそう。例えば紐通しやボタン掛けの訓練にもなる手遊びグッズを見えるところに置いたり、四季折々の行事を伝えたり。今日の生花も年末年始に家に飾るという意識を芽生えさせようと用意したもの。「怖くて触らせていなかったハサミを上手に使いこなせるようになって、驚きました」「先月、教えてもらった月の満ち欠けに興味を持ち、毎夜「今日の月は何?」と聞いてきます。半月なら上弦か下弦か、と聞かれるので私が慌てて調べたり…」と、保護者の方々。学習に早い遅いはなく、興味を持った時が教える時だと、親子で気づきを得ているようです。
この教室に通うことにした決め手は?と尋ねると、揃って「しっかり片付けの指導されているところ」とのこと。ここでは遊ぶことをお仕事と呼び「お仕事したら、お片付け」が合言葉。使ったものは全て元の位置に戻します。実は、お片付けは世の母親すべての悩みの種。蒲田さん曰く「親子だと「イヤだ」となってしまうのですが、ここではみんな、やれるようになります」。どうやらその秘密は「私やスタッフは、ばぁばという存在を目指してます」という蒲田さんの言葉にありそうです。ばぁばとは、子供が自然と少し緊張や敬意を抱き、大きな愛情で見守ってくれる頼れる存在。「核家族が多いので、助けて欲しい時にそばに祖父母がいない家庭がほとんど。今どきのお母さん、特に働くお母さんの子育ては、大変。そこで、ばぁばになろうと思ったのです」。その想いの原点はご自身の経験。子供がいても安心して働けたのは、自分の母親のおかげ。実際、蒲田さんの息子さんも「母がいなくても寂しいと思うことなく、しっかり祖母に可愛がられ、しつけられました」とおっしゃいます。名前で気づいた方も多いでしょうが、蒲田さんの息子さんは『秀英館』の塾長・蒲田晃樹さん。個別指導・ぐらんどすらむわーくすの教室を塾として使っていない時間に『コドモミライズ』が開催されています。「自分の想いを形にした教室をいつか開きたいというのが、夢でした。今年に入り、幼稚園の園長を退職した時に「昼間、ここでやったら?」と息子が背中を押してくれたんです」と嬉しそうな蒲田先生。照れ臭そうな晃樹さん。そんな微笑ましい二人の雰囲気、まさに理想の親子の未来図だと思いました。