歯科医に行くと言えば、虫歯など何か口内のトラブルで駆けつける時。治療の痛さなどを想像し、大人も泣きそうな気分に…というのはひと昔前のはなし。
「何かトラブルになる前に歯も人間ドッグのように、定期的に点検を受けるのが大事です。うちでは4〜6ヶ月に一度の通院をすすめていて、大人なら歯石をとったり、歯周病予防を。こどもは虫歯チェックと歯石とり、フッ素塗布をします」と話すのは、医院長の左海孝昌さん。
父親が開院していた地に新しくこの医院を設けたのが、平成20年のこと。建物自体、入りやすいように、丸みを帯びた形に設計してもらい、色も暖色に統一。思わず行きたくなるような歯医者さんです。
なかでも格別なのが、待ち合い室の居心地の良さ。温かい光を放つ間接照明に、週1度活けかえられる生花…カフェやホテルのロビーのような癒し空間に仕上げたのは、副医院長である奥様・美穂さんのこだわり。
また、子育てママという立場でもある美穂さんの意向で、子連れの患者さんが他の患者さんに気兼ねなく過ごせるキッズスペースも用意されています。
ご夫婦揃って補綴歯科専門医だそうですが、補綴歯科って?「噛む・喋る・見た目」の悩みをクラウンや入れ歯など人工の歯で補う治療法のことだそう。
歳をとってもしっかり咀嚼できる口内環境を保持することを目標に、各患者さんにあった治療を考えてくれるというのだから「頼もしい!虫歯になったら来ますね」とお願いしたところ「本来、私たちが力をいれたいと思っているのは、手遅れになる前の予防治療なんです。
だから一度来られた患者さんには、定期検診のはがきを送るようにしています。虫歯も早期に発見できれば、麻酔もなしで、少し削るだけの簡単な処置ですむのですから」と、諭されました。
なかでも子供に関しては、幼児期に歯ブラシを持つ習慣をつけることがポイント。「歯のない幼児の時期から、お風呂でガーゼで体を洗う際に、口の中も触ってあげてください。口の中を触られても嫌がらなくなれば、その手に歯ぶらしを持たせて。
そうしているうちに、自然と歯磨きの習慣ができてきますよ」と、幼児連れのママや妊婦の患者さんには、必ず説明するという美穂さん。「子供の患者の扱いは妻のほうが断然、上手なんですよ」と孝昌さん。白衣ながらに、ママとパパの顔がちらり、見える瞬間でした。
そんなおふたりが出会ったのは、東北の歯科大学のキャンパス。結婚してしばらくお互いに東北で勤務医を経験後、ここ西宮で開業したのだそう。関西の知識がまったくなかった美穂さんにとって、不安だらけの新生活だったそうですが、今ではすっかり歯科医としても、主婦としても、ママとしても、西宮に慣れ親しんでいる様子。
「歯科医同士の結婚の場合、奥さんのほうが仕事をやめてしまうケースが断然多いのですが、うちの場合はさすがに出産時には休みましたが、開業からずっと二人三脚状態です。医院長と副医院長とはいえ同等の立場、よきパートナーとしてふたりで治療にあたっています。なにせ妻は治療もうまいですし…」と語る孝昌さん。
「歳は僕のほうがひとつ上なのですが、実は妻のほうが大学では1年先輩だったんですよ」とにっこり。 先輩を口説き落として、はるばる東北から西宮まで連れてきたのだから、そりゃあ、大切にしなくてはなりませんよね。