高タンパク、低脂肪な鶏肉が注目を集める昨今。家庭で鶏ハムを作る人も多いでしょう。どうしてもパサパサした仕上がりになるけれど、健康のため、味の追求はあきらめがちでは？そんな人を驚かせるお店が『CHICKEN WORKS』。旧国道沿いにあり、ガラス張りの店内からいい香りが外まで漂ってます。

店名通り、鶏肉メインのメニューをお弁当形式、単品で販売。テイクアウト中心ですが、イートインも宅配も可能（配達料200円/1000円以上の注文で無料）。店長の中村元気さんいわく「僕自身、体作りの為に10代の頃、胸肉だけを食べる生活をしていましたが、美味しくないから続きませんでした。でもうちのお店の胸肉なら余裕で続けられますよ」と、にっこり。

自信満々な美味しさの秘密は二つありました。まずは丁寧な調理。下処理から漬け込みまで、六時間以上かけて火入れもつきっきりで管理します。そしてもうひとつが、ソース。胸肉、ささみは六種類から選べるソースをかけて提供されるのですが、どのソースもヘルシーで美味しく食べられる工夫がされています。なかでも和風オニオンは、季節によって玉ねぎの状態が違うので季節感も盛り込まれます。新玉の時期はフレッシュでみずみずしいと好評だそう。

気になるお味を体験しようと、一番人気のアスリートセットをいただきました。内容は焼きあげて脂を落としたもも肉と割いた胸肉（各100g〜）、雑穀米とサラダ二種の盛り合わせ。サラダは定番のグリーンサラダに加え四種類からもう一つ、胸肉にかけるソースは六種類から選べます。まずは胸肉を一口。しっとりした食感で噛むと鶏の甘みがじわっと出てきます。家で作ってる鶏ハムとまるきり違うのにびっくり。もも肉はプリッとしてて揚げていないのに唐揚げのような食べ応えがあります。鮮度の良さが伝わるサラダは、ドレッシングで各野菜がよりひきたち、香ばしい五穀米は少なく見えてしっかり満腹にしてくれます。そのうえ、たんぱく質量とカロリーもきちんと表記されています。

ここでふと、気になることが。看板に白金と書かれているので、東京発のフランチャイズ？「はい。関西では北浜とここの二店舗のみ。フランチャイズといえど、各店のキッチンで調理しているのでこだわりや個性があると思います」と、店長のお母さんである亜紀子さん。そもそも亜希子さんが長年のオフィスワークに区切りをつけて、なにか打ち込める事業を始めたいと思った際に、チキンワークスに遭遇。「お客様の健康で美しい身体作りのお手伝いを、栄養面だけでなく美味しさにもこだわったサポート」という経営理念に共感を抱き、息子の元気さんとお姉さんの優子さんに声をかけて、開業したのですが、この三人がそろいに揃ってこだわり気質。元気さんは肉を切り分ける際に見た目美しく食べやすい成形にこだわり、優子さんは胸肉のふわふわの仕上げにこだわる。亜希子さんは野菜も付け合わせ感覚でなく喜んでもらえるものを、とできる限り鮮度のいい西宮産を探し回ります。手間を惜しまず、よりクオリティの高いものを、と頑張る三人がタッグを組んでこその、美味しさなのです。

何より他のチキンワークス店舗と違うところは、アスリートはもちろ老若男女に愛されているところ。近隣にスポーツ整体やジムも多くボディメイキングを意識している人が多く、筋肉作りや試合前の減量など、訪れるアスリートの用途は多種多様。元阪神タイガースの糸井さんも常連さん。現役時代はアスリートセットを二つ、引退後は甲子園で解説のある日にボックスセットを買って行くのだそう。そしてアスリート同様に多いのが、健康を気遣い購入される高齢のお客さん。毎日、お弁当を買いにこられる老紳士や雑穀米のご飯を求めて来る老婦人もいれば、授乳中の若いママやダイエット中の人など…この地域の人たちの健康に関する意識の高さが際立つようです。

最後におもしろいエピソードを元気さんが教えてくれました。オープンまもないある日、年配の女性に「これ、かしわ？かしわ屋さんよね」と聞かれた元気さん。え？お菓子？と一瞬きょとん。スポーツに関しては幅広く知識があるので、お客さんからふられたどんなスポーツの話題にもあわせられるのに、この時だけは焦って検索したとか。