▲ララ美容室さんの新型コロナウイルス感染防止対策について【動画】
道ばたに出ている、数字の書かれた看板に注目を。
初めての人も来店しやすいようにと、毎月、パーマやカラーが半額になる日が書かれているのです。店はビル2階なので、残念ながら外から様子や雰囲気をうかがい知ることは不可能。そこで、初めて訪れる人は、ワクワクしながら階段を昇りきってください。
と、オセロのように突き当たりの壁が白と黒に塗りわけられていて、左右扉が左右にひとつずつ。左が『ララ美容室』です。
ちなみに、右の喫茶店もララのオーナー片岡宏一さんが経営。前の経営者が店をやめた時に美容室を広げるつもりで買い取ったものの、山小屋風の凝った内装を壊すのが忍びなく、また宏一さん自身、珈琲が好きなので、喫茶店も続けようということになったのだそう。
実際、常連さんには珈琲を飲んでからカットに来る人、カット後に珈琲を飲む人も多く、美容室に珈琲の配達を頼む人もいるそうで。
さて『ララ美容室』、創業40年ちかくの歴史があるだけに、その内装は昭和世代には懐かしい雰囲気。
うなぎの寝床のように縦長の空間を広く見せるよう全面鏡張りだったり、パーマのマシンが宇宙服のヘルメットみたいだったり…親子3世代つながっているお客さんもいるらしく、若い世代には斬新に映るかもしれません。
オープン当初は7名ほどいたというスタッフですが、今は宏一さんとベテランの男性美容師さんと、紅1点、宏一さんの奥様・美江子さんの3名で切り盛り。
それぞれ、専属のお客さんがいてるそうですが…「初対面のお客さんには、あの人、対応、上手やね。あの人はね、人怖じしないの。話術で初対面の人をも虜にしてしまうんよね」と残念ながらその場にいなかった奥様・美江子さんのことを語る宏一さん。
実は、美江子さん、オープン時のスタッフの一員だったそうで…。「その時はスタッフのひとりだったし、その後、独立して彼女もお店を経営していたんです。
それがね、震災ですよ。神戸のあの地震がきっかけでね、元スタッフとして心配になって「お店、どうだった?」と聞いたら、向こうは全壊だったんです。じゃあ、うちでしばらく働く?」と、声をかけて再会したことが縁で…」。めでたくゴールインとなったこと、照れくさそうに話されました。
それまでお互い、お店に全力投球で、どちらも独身だったのですから、結ばれるのは、運命だったと言えそう。「まいったことに、今や彼女のほうが立場が強くなってるんだよね…」と照れ隠しに、付け足されましたが…。
「長いことさせてもらっているぶん、常連さんを大事にしたいと思います。となると、今の課題はバリアフリー。お客さんも僕らも歳とってきたからね。
お店の階段の手すりも、自分が若い時には必要性を感じたことなかったんだけど、お客さんから希望があって、20年くらい前につけたんです。で、今頃になって必要やなぁと痛感してますわ」と、若々しく見えるものの60代ゆえの想いを語る宏一さん。
「お客さんのほうは、男性客1対女性客9くらいかな?甲子園って僕の地元やから、昔は僕の同級生なんかも、大勢来てくれてたんだけどね…髪のあるうちは、ね。今じゃ、めっきり…」と、笑いでインタビューをしめくくるあたり、さすが!奥様に負けず劣らず、話術に長けていらっしゃいました。