▲串笑門さんの新型コロナウイルス感染防止対策について【動画】
まずはごめんなさい!甲子園口にも同じ店名があるので、てっきりチェーン店かと。
『串笑門』のオーナー・吉田恵造さんに「串笑門はなん店舗あるんですか?」と聞いて「10年前にこの本店をオープンしたのが最初で、甲子園口の支店と2店舗」と回答をいただき、間違いに気づいた次第。
そして「19歳から両親がやってる喫茶店を手伝っていて…そのハードな生活から逃げたかったので、独立しました」と言うので、それは大げさでしょ…と、思ってしまった私。
再び、ごめんなさい!聞くと、お父さんは鳴尾で30年続く有名なオオバコ喫茶店の店主で、吉田さんは若い頃、朝6時から夜11時まで、厨房からホールまで、ずっと働き詰めだったそうです。
もちろんそこには二代目に育てたいという父の愛があるのですが「そんな日々から逃げたい」という一心で西宮駅そばにある串かつ屋さんで修行。ある日、ふらりと通りかかったらこの店舗が空いていて、開業を決意したといいます。
「なんてことない串かつ屋です」と言うわりに、メニューは多種多様。揚げ油には上質の油を使い、こまめに交換。ソースや塩も既製品ではなく、自家製や自家配合でオリジナルなものを作り出すなど、かなりこだわっています。
「油ものが苦手な人も食べられますし、胸焼けしないと言われますわ」といい笑顔がこぼれます。
なるほど、揚げたてをいただくと薄い衣をまとった串は一口目から素材の味がしっかり味わえて、サクサクとなん串でもいけちゃいそう…。
「串かつが好きなんですね」という問いに「なんでもよかったんです」とぶっきらぼうな返事。でも食い下がり、とことん聞き込みを続けると「本当は焼鳥がしたかったんです。
でも当時、近くに後輩の焼鳥屋があったんで…」と。すべては語らないけれど、後輩の商売の邪魔にならぬよう配慮した様子。
「月曜と水曜はレディースデー。女性はドリンクがオール半額なんです。太っ腹?いえいえ単純に女性が好きなんですわ」と、冗談まじりで話を茶化す吉田さん。
その人柄はお客さんだけでなく従業員までも、ひきつけるようです。取材時に居合わせたのが、社員歴4年目の柳町孝一さんと学生アルバイトの秋本優真さん。
秋本さんはお客としてお店の雰囲気が気に入り、バイトに応募。
「失敗が多いけど、笑顔がいい。やる気があるなら社員にしたいと思ってる」と吉田さんに予期せぬ言葉をかけてもらい、嬉しそう。
柳町さんは本店で唯一の社員。お客さんを飽きさせない仕掛けとしてランチを提案。
串3本にお造り、ハンバーグ、海老フライにデザートがついた串笑門定食900円をはじめ、かなりお値打ちな品々を登場させました。
「今まで夜だけの営業だったので、バタバタするだけやと反対したんですけど、やるって言うからやらせてみました」とぶっきらぼうに言いつつ「価格とか、どう思います?珈琲は飲み放題がいい?なるほど、それはできるんちゃうかな」
と、私の勝手きままな意見にも耳を傾ける吉田さん。
まだ浸透していないので、昼は赤字だそうですが、社員のやる気を認めているようで「もう少し、様子みようかな」と。
そう聞けば私もお値打ちランチの存続のため、宣伝活動しようと思ってしまいます。ちなみに吉田さんは実質、お昼はノータッチ。
というのも「オヤジの店の手伝いがあるんです」。なんやかやと言いながらも老舗喫茶店の二代目としての責任感も果たしながら、自分の店と両立していたとは!なかなか骨のあるオーナー、今後の活躍が楽しみです。