▲芦屋 花ゆうぜんさんの新型コロナウイルス感染防止対策について【動画】
小曽根線と旧国道の交わる交差点の南東角。小料理屋の雰囲気が漂う店構えは一見、敷居が高そうに見えます。看板には「あしや 花ゆうぜん」と書かれていますし。でもひるむことなかれ。玄関に置かれたメニュー表をのぞいてみると、思わず笑みが!お昼はお造りか天ぷらのご膳が1050円〜、夜のご膳1500円〜(税別)で用意されています。しかも写真を見る限り、色とりどりで内容充実。これが本当にこのお値段?と疑ってしまいますが…。
お昼にお邪魔すれば、すべてがわかります。まず女性グループの予約が多い=美味しい証拠!そして各テーブルにお膳が届くと、歓喜の声があがります。なぜなら写真以上に盛り付けが美しく、春なら桜の小枝、秋なら紅葉の葉など、季節を目で愛でられる草花も飾られていることもあるのです。天ぷらご膳、お刺身ご膳。旬の魚の刺身、旬の具材を楽しめる天ぷら。いずれかをメインにした一番お手頃なコースですら、ボリューム満点なのに驚きます。特筆すべきが季節感満載の手の込んだ料理が少しずつ盛られた八寸。昼間から贅沢な口福を少しづつあれこれ味わえるという、ステキなお店です。
オーナー松本晴幸さんがホテルの割烹、京料理の名店で修業をつんで、芦屋にて懐石料理のお店をオープンさせたのが1987年。芦屋のマダム達に惜しまれつつ、奥様の佐知子さんの地元でもあるここ、西宮に移転したのが2016年。小松小学校、学文中学校の卒業生でもある佐知子さん、近所に同級生や知り合いもたくさんいるし、地域のことも知り尽くしてます。そこで本物志向でありながら、カジュアルさを喜ぶジモティの好みにぴったりの献立を提供できているでしょう。開店して間もなく、人気のランチ処にランキングしたのは、料理の腕前はもちろん、奥様のアドバイスの賜物かと思われます。
料理に限らず、物作りが好きだから、時間があれば家でもDIYを楽しむ晴幸さん。けやき散歩道の清掃に参加された際に、屋外ではゴミ袋の口がヒラヒラして、ちりとりからゴミを移す時、こぼれやすいのを体感。早速、ゴム栓やレールなどを駆使して、刺繍用の輪の大きい版のような代物を作ってくれました。なるほど袋の口を広げたままにできて、使いやすく助かっています。
「きっとDNAですね」と佐知子さん。晴幸さんのお父さんは、腕利きの指物師だったそう。その器用さと遊び心をもちあわせているおかげで、料理界でも特許を取得。そのメニューが、生うにと湯葉のしゃぶしゃぶ(リゾット付税別2500円)。3500円以上のコースなら、組み込むことが可能です。ちなみに新メニューの誕生には、佐知子さんとふたりの娘さんの試食後の意見が大きく作用するとのこと。舌は肥えているし、食べ歩きが趣味という娘さんたちからは、特に厳しい指摘があることも。「3対1で、家では多数決はいつも負ける…」と苦笑いの晴幸さんですが、店内に娘さんの絵を飾る(どこかの巨匠の風神雷神絵?と思わせる秀作)など、家族に支えられている感じと、洗練された料理とのギャップも、魅力です。